乳歯は、きちんとした位置に生えていますか?乳歯は生え変わるから、成犬の歯と関係がないと思っていませんか?乳歯の生え方は、犬の一生に関わることです。自己流や、インターネットの情報を鵜呑みにして間違ったケアをしてしまうと、歯ブラシができなくなることもあります。
当クリニックでは、ワンちゃんの一生のかみ合わせに大切な、乳歯から永久歯の生え変わりまでの検診・治療に力を入れています。一番大切なのは、永久歯犬歯が「いつ」「どこに」生えるかです。
子犬は、永久歯に生え変わるまでの時期が、生後6か月くらいに終わってしまいます。永久歯の生える順番と、遊び方を見守ってあげることが、この時期とても大切です。子犬を飼ったらすぐに歯科検診をスタートしましょう。子犬の歯科、行動学に詳しい当クリニックに、お気軽にご相談ください。
子犬の歯について Q&A
Q.乳歯が正しい位置に生えていないとどうなりますか?
A.早急に処置が必要です。
こちらは生後4か月のワンちゃんの写真です。
下の乳歯が上のあごに刺さり、あごの成長を妨げてしまっています。早急に処置が必要です。
Q.いつから、歯のケアをしたらいいのでしょうか?
A.乳歯が生えたその日からがスタートです。
人間の子供と同じで、乳歯が生えたその日からがスタートです。もちろん、歯の予防治療を思い立った時が、一番のタイミングです。早速ご相談ください。2歳半までに、ご相談くださるのが理想的です。
Q.もし永久歯の生える時期に生えてこなかったらどうなりますか?
A.最悪の場合、腫瘍になることもあります。
永久歯が外に出る力を持っている時期は限られています。適切な時期に適切な処置をしないと 永久歯があごの中で成長を止めてしまい、外には出られなくなってしまいます。
下の写真は、上の永久歯犬歯が生えたのに、下の乳歯が残っている上に、永久歯の位置の異常により、下の永久歯犬歯が生えていなかった子犬です。(上の永久歯犬歯より下が先に生えてくるのが順番の基本です)あごの中に歯が残ったままだとあごの強度が落ちたり、将来腫瘍化することもあります。
上の永久歯犬歯が生えているのに、下はまだ乳歯のまま。
Q.乳歯が残ってしまったらどうなるの?
A.あごの幅に異常が出たり、かみ合わせに歪みが出ることもあります。
乳歯が残ったまま永久歯が生えてしまうと、あごの幅に異常が出たり、かみ合わせに歪みが出ることもあります。
〈永久歯が生えたのに乳歯が抜けなかった症例①〉
普通は乳歯の根がなくなって抜けるのですが、何かの異常でその機能が働かず、ずっと残ってしまうことが多いのです。
〈永久歯が生えたのに乳歯が抜けなかった症例②〉
抜歯したところ「上顎第3乳臼歯」という歯でした。歯が残っている状態が長く続くと、あごの幅に異常が出たり、かみ合わせにゆがみが出ることもあります。
〈永久歯が生えたのに乳歯が抜けなかった症例③〉
生後7か月で当クリニックに来られたワンちゃんです。赤い部分が、乳歯。左右合計10本も残ったままでした。乳歯が抜けないまま永久歯が生えたために、あごがゆがみ、下の永久歯犬歯は内側に生え、上の永久歯犬歯は鼻の方へ移動して生えてしまっていました。
〈永久歯が生えたのに乳歯が抜けなかった症例④〉
上の永久歯犬歯は乳犬歯の前へ生え、下の永久歯犬歯は、乳犬歯の内側へ生えています。乳歯の場所に生えるはずの永久歯が、乳歯が残っているために生える場所がなくなり、違う場所に生えてきてしまうのです。このままでは下の永久歯犬歯が上のあごに刺さり、穴を開けてしまうこともあります。
Q.乳歯はいつか生え変わるから、折れても大丈夫ですか?
A.下にもう永久歯の赤ちゃんが待っていますし、あごにもそこからバイ菌が入っていきます。すぐに診察を受けてください。
Q.残った乳歯は、何か硬い物を咬ませたら抜けるのでは?
A.人間の子供にさせないことは、歯やあごの骨が弱い犬にもさせないでください。